お知らせ

第3回「合板の日」記念式典の開催について

11月3日は、合板の祖といわれる故浅野吉次郎翁が、1907年に日本で初めて近代的なロータリーレースを開発して合板を製造した日で、公益財団法人木材・合板博物館及び日本合板工業組合連合会の共同提唱で、この日を「合板の日」として制定しています。 

この制定を機に「合板の日」実行委員会(吉田繁会長)は平成27年11月6日、新木場タワーで第3回「合板の日」記念式典を開催しました。式典には、関係官庁、団体、企業等より約250人が参加しました。 


 式典は、冒頭に吉田繁会長より、110年間にわたる合板製造の発展への国立研究開発法人森林総合研究所(以下「(国)森林総合研究所」と言う。)の貢献に対し感謝の意を込めて挨拶を行い、引き続きご来賓の今井敏林野庁長官及び寺崎久明東京都産業労働局農林水産部長より祝辞を頂きました。 


 表彰式では、木材・合板博物館の岡野健館長が、林野庁長官表彰状及び「合板の日」実行委員会感謝状を受賞された(国)森林総合研究所の合板産業の発展への多大なご功績について紹介を行い、今井敏林野庁長官及び井上篤博日合連会長より表彰状及び感謝状・副賞が授与されました。授与後、同研究所理事長の沢田治雄氏が、受賞者挨拶を行いました。


 講演会では、同研究所フェローでセイホク株式会社技師長神谷文夫氏及び同研究所複合化研究室長の渋沢龍也氏より、それぞれ「ネダノンの開発」及び「国産材を活用したコンクリート型枠合板の開発」と題する記念講演が行われました。


 懇親会は、牧元幸司林政部長の乾杯、ご挨拶により盛会裡に開催され、吉条良明全国木材組合連合会会長の中締めにより閉会しました。

 

 
記念式典全景①
 

記念式典全景②

 
吉田繁実行委員会会長の主催者代表挨拶  
来賓挨拶を行う今井敏林野庁長官
   
 来賓挨拶を行う寺崎久明東京都産業労働局
 農林水産部長
   受賞者の功績について紹介を行う
岡野健木材・合板博物館館長
   
 今井敏林野庁長官から林野庁長官表彰状を
 受賞する沢田治雄理事長

 

井上篤博日合連会長から感謝状を

受賞する沢田治雄理事長

   
 受賞者代表挨拶を行う沢田治雄理事長   記念講演を行う神谷文夫技師長
   
記念講演を行う渋沢龍也室長     懇親会の冒頭挨拶・乾杯を行う
牧元幸司林政部長
   
懇親会の懇談      中締めの挨拶を行う
吉条良明全国木材組合連合会会長
   
   林野庁長官表彰状
 
 「合板の日」実行委員会 感謝状

 

 

「合板の日」記念式典

林野庁長官表彰の受賞者の御紹介

≪国立研究開発法人森林総合研究所殿 ≫

. 国立研究開発法人森林総合研究所の概要

(1) 国立研究開発法人森林総合研究所(以下「森林総研」という。)は、明治38年(1905年)に農商務省山林局林業試験所として東京府目黒村に発足し、農林省林野局林業試験場への改編、筑波研究学園都市への移転、森林総合研究所への名称変更等を経て、平成13年(2001年)に独立行政法人となった。以降林木育種センターとの統合、旧緑資源機構の業務継承等を行い、本年(2015年)に国立研究開発法人となった。

 

(2) 発足以来110年間の長きに亘り、我が国の森林・林業・木材に関する試験研究、林業技術の向上に関する最大の機関として、合板産業をはじめ林業及び林産業の発展に多大な貢献を行ってきた。

 

 

. 功績内容

(1)国産材を活用した針葉樹構造用合板の開発

1980年代から1990年代にかけて、それまで合板製造用原木の主流を占めていたラワン等広葉樹の南洋材について、産地国の資源ナショナリズムの台頭による原木の輸出規制・禁止と合板輸出が加速化した。他方、平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災を契機に、床下地、耐力壁、屋根下地等の建築材料として耐震性の強い針葉樹構造用合板への関心が高まり、その需要が増大した。

また、この動きに合わせてロシア材等の針葉樹原木の輸入が増大すると共に、スギ、カラマツ等国内人工林資源が熟成期に入り始め、間伐等の整備促進が重要となり間伐材等の小径木が安定的に供給可能となる中で、針葉樹構造用合板の厚物化や各種認定・規格化等を通じた需要の拡大が重要課題となった。

このため、森林総研では、国・都道府県、大学及び民間企業の研究機関、住宅業界や合板業界等と協力しつつ、厚物をはじめとする針葉樹構造用合板の製品開発に不可欠な強度試験、耐火試験、遮音試験及び製造技術の開発等を実施した。

この成果として、合板業界による厚さ24mm以上の厚物構造用合板「ネダノン」の商標登録、45分準耐火構造及び壁倍率に係る各種仕様毎の国土交通大臣認定の取得普及等を通じて住宅等の耐震性の向上及び国産材の需要拡大に多大な貢献をしている。

 

2)ホルムアルデヒド問題への対応

昭和50年の食器戸棚の異臭問題に端を発したホルムアルデヒド等の揮発性有機物(VOC)の放散は、健康障害に係るシックハウス症候群として社会問題化した。

これに対し国は、数次にわたり関係するJIS規格及びJAS規格の改正を行い、放散量等の試験方法が改良されるとともにより厳しい基準へと見直しが行われ、平成15年(2003年)にJAS規格の改正及び建築基準法の規制(建築材料の区分及び仕様制限)が施行された。世界で最も厳しいと言われる新たなJAS規格を基に合板業界は生産を行ない、ホルムアルデヒド問題は収束した。

森林総研では、これらの規格、規制に不可欠なデータを整備し、現行のF☆☆☆☆~F☆の規格策定に貢献した。

 

(3)コンクリート型枠用合板の開発

我が国において少子高齢化などにより今後は新設住宅着工戸数が減少し、この影響で住宅用の構造用合板の需要も減少すると見込まれる中で、非住宅分野での合板需要の拡大のため、特に、現在使用されているラワン等の型枠用合板と遜色のない性能を有する国産材を活用した型枠用合板の開発が急務となった。

このため林野庁の補助事業の活用により、合板メーカーが様々な樹種、単板構成、表面塗装の製品を試作し、森林総研のリーダーシップの下、型枠業界、建設業界等の協力を得て、製品の強度、耐水、接着、塗装性能の試験や建築・土木の施工現場での性能等実証調査、現地説明会等が行なわれた。

その成果として、南洋材型枠用合板と遜色のない性能、転用回数を有する、国産材を活用した型枠用合板の開発、実用化に至った。また、開発に当たって、現在の型枠の使用方法に合ったJAS規格が改正されると共に、環境への貢献が認められ「合板型枠」としてグリーン購入法の特定調達品目に指定された。

 

(4)住環境の改善と国産材の需要拡大

以上の他にも、森林総研では国産材を利用した合板の防腐・防蟻や省エネに係る性能向上及び遮音壁の開発等広範にわたる技術開発と製品開発を実施してきており、最近では、住宅のリフォームでの合板利用促進のため、上下開口付き耐震補強壁の施工技術の開発にも参画している。

これらの成果として、平成26年(2014年)には、国内の合板製造用原木の総量は約335万m3と平成12年(2000年)の24倍に増大し、国産合板の製造原料の約7割を占めるに至った。

このことは、災害の多発する我が国における耐震性等住環境の改善に大きく資すると共に、地球温暖化防止、皆伐・新植、間伐等森林整備の推進、地域の活性化等に寄与し、森林・林業基本計画の目標である「平成32年(2020年)までに木材自給率50%の達成」に多大な貢献をしている。