日合連概要会長挨拶

ご挨拶

日本合板工業組合連合会 会長 井上 篤博
令和3年1月

― ウィズコロナのSDGs時代に向け、国産合板の更なる需要拡大を ―

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 昨年は、新型コロナ感染症のパンデミックにより、多くの人命が失われました。心からお悔やみ申し上げます。また、今も懸命に治療に取り組んでおられる医療従事者の皆様に心から感謝申し上げます。

 地球規模で人やモノ、資本が移動するグローバル経済の下では、一国の経済危機が瞬時に他国に連鎖するのと同様、気候変動、自然災害、感染症といった地球規模の課題もグローバルに連鎖して発生し、経済成長や、貧困・格差・保健等の社会問題にも波及して深刻な影響を及ぼす、とされています。新型コロナのパンデミックはまさにこの状況を全世界の人々が痛感する契機となり、持続可能な開発目標(SDGs)達成の重要性・必要性への理解が深まったものと思います。

 林業・木材産業は「伐って、使って、植えて、育てる」という永遠の緑の循環を支え、森林の持つ多面的機能の発揮を通じて、SDGs達成に大きく貢献しています。合板は、丸太をかつら剝きにして無駄なく利用し、木材の持ついくつかの欠点を製造技術で補正して、木材より強く、幅が広く、伸び縮みの少ない部材として、構造用や内装用など幅広く用途を拡大し、緑の循環の大きな推進力となってきました。

 また、日本の合板業界は、貴重な熱帯雨林の保護と地球環境保全のため、合板用原木を南洋材から国産針葉樹へと積極的に転換させてきており、製材用には使われない間伐材・曲がり材・小径材などを安定的に使用し、国内生産合板の国産材使用割合は90%近くを占めるようになりました。

 一方で、日本で使用されている合板の約半分は依然として東南アジアや中国で生産された「輸入合板」です。SDGs達成に向けて「合法性」「持続可能性」の確保は欠かせません。日本の森林資源の有効活用を通じた次世代の森林再生と地域経済振興のためにも、日本の植林木を主原料とした国産合板の製造販売を一層拡充していく必要があります。

 このため、日合連では、国産針葉樹を原料とする構造用合板、フロア台板、型枠用合板等の開発に取組み、非住宅分野や中層・大規模建築分野への合板使用の新規需要を開拓してまいりました。現在、200mmを超える超厚合板の製品開発及びJAS規格の改正に向けた取組を推進しており、CLTと並ぶ新たな建築部材が誕生するものと大きな期待を抱いているところです。

 さらに、TPPや日欧EPAにより、いよいよ関税撤廃が目前となりました。合板産業は体質強化、国際競争力向上が重要かつ喫緊の課題です。輸出促進にも一層取組んでいく必要があります。

 日本の人工林資源は主伐期が到来しつつあります。LCAの観点から、A~D材の仕分けを通じた木材の高付加価値化利用、マテリアル利用とエネルギー利用の両立を追求するためのカスケード利用の徹底を図ることを通じて、先人が育てた貴重な資源を永続的に活用していくことに、合板業界としても尽力してまいる所存です。

 ウィズコロナのSDGs時代において、合板産業はさまざまな課題を克服し、環境創造産業・住宅創造産業として、地域経済の振興のために一層発展できるよう取り組んでまいります。

本年も皆様のご健康、ご多幸を祈念申し上げるとともに、我が国合板産業への一層のご支援をお願い申し上げ年頭のご挨拶と致します。