日合連概要会長挨拶

ご挨拶

日本合板工業組合連合会 会長 井上 篤博
平成23年1月

― 森林・林業・木材産業の再生を目指して ―

 新年明けましておめでとうございます。

 平素より日本の合板産業並びに日本合板工業組合連合会(日合連)へ多大なご理解とご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 さて、世界的な金融不安と先進国同時不況の様相を呈している中、我が国の新設住宅着工戸数は2009年に788千戸と歴史的激減を記録し、昨年は約800千戸程度と予想され、住宅・建設産業を主要な顧客とする合板産業は極めて深刻な状況を迎えました。

 しかし、我が国の合板産業には、地球環境の保護と日本の森林の再生そして地震や風害などの自然災害から国民の安全と健康を守る住環境を充実させる使命があります。このため我が国合板産業は、昨年スギ・カラマツ・ヒノキ等の国産材を2009年に比べて2割増となる約240万立方メートル活用しました。輸入木材に押され木材自給率が戦後最低になった2000年の国産材利用量が約14万立方メートルであったことに比べると10年足らずで17倍以上に増大させることができました。地域林業の復興を通じて地域経済の活性化に繋がり日本の森林再生へ向け前進できたものと信じております。

 これからも日合連は、現在も日本で利用されている合板の約60%がマレーシア・インドネシア・中国等で生産されたいわゆる「輸入合板」であることから、日本の森林資源の有効活用を通じた我が国の森林再生にブレーキが掛かっている事実を訴え、貴重な熱帯雨林の保護と生態系維持のためにも日本の植林木を主原料とした合板の製造販売を一層拡大していくこと、そして国産材活用を推進するに当たって必要な輸入原木または輸入単板の適切な利用を図って参りたいと思います。

 本年、日合連は、国際的には、関税撤廃を前提とするTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加に反対すると共に、WTO・EPA/FTAにおける合板輸入関税を維持すること、ロシア未加工木材の輸出関税の推移に注目しながら必要な輸入材の安定的確保を図ること等について、日本・マレーシア・インドネシア三ヶ国合板会議並びに日本・韓国・台湾三ヶ国合板会議等で情報交換をしながら我が国の森林と林業のために現行の関税維持が重要であることを訴えていく所存です。また、違法伐採対策についても引き続き合法証明のされた合板の供給を促進すると共にその普及に努めて参ります。

 また国内的には、関係省庁、都道府県、市町村等へ、日本の森林再生と地域経済の活性化のためには、地域林業の振興すなわち地域材を活用した合板の利用拡大が必須条件になることを訴え、そのご助力を賜りながら、国産合板の需要拡大を最重要課題として取り組んで参りたいと思います。9ミリ・12ミリの合板だけでなく24ミリ・28ミリの厚物合板(通称ネダノン)を住宅の床、壁、屋根下地などあらゆる用途へ使用することで、住宅設計の自由化と釘保持力の維持性を高めた地震や台風に強い住宅建設を促進していくこと、住宅の内装やフローリング用合板だけでなくコンクリート型枠用合板も熱帯雨林を主原料とした「輸入合板」ではなく国産合板を積極的にご利用いただき、日本の森林再生を共に実現していくことを、住宅産業並びに建設産業へアピールしていきたいと思います。

 「森林・林業再生プラン」の最終とりまとめが昨年11月30日に公表されましたが、今後10年間で国産材自給率50%とすることを目標とし、この中で合板用原木については、輸入合板の代替や新規需要の開拓により590万立方メートルの国産材利用を目指すとされております。この目標達成のため、「公共建築物の木材利用促進に関する法律」が制定・施行され、今後、森林法の改正、森林・林業基本計画の改定等が進められると伺っております。

 日合連は、この「森林・林業再生プラン」に則り、日本の森林再生と地域林業の振興を通じた地域経済の活性化、そして何よりも地球環境の保護と地震や災害から国民の安全と健康を守る住環境の充実を目指し、全力を挙げて、環境創造産業・住宅創造産業として一層発展できるよう一意専心努力する所存でございます。また、本年は国連が定めた国際森林年であり、日合連と致しましても「世界中の森林の持続可能な経営・保全の重要性に対する認識を高める」との趣旨を踏まえて各種の活動を行って参りたいと思います。

 皆様の一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の本年のご健康、ご多幸を祈念申し上げ年頭のご挨拶と致します。